統一地方選挙 2023

2023年福岡市議選にあたっての日本共産党の政策

日本共産党7区7人の福岡市議団実現を

2023年4月に統一地方選挙が行われます。日本共産党は福岡市議選で現有6議席を必ず確保し、博多区での議席奪還を勝ち取り、7区7人の福岡市議団の実現をめざします。

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1.福岡市政における対決点

2022年福岡市長選の直後、髙島宗一郎・福岡市長が地下鉄を空港の国際線から博多駅まで3キロの区間を数百億から1000億円かけて延伸する計画を検討していることが報道されました。福岡空港は今でも「世界で最も都心に近い空港」とまで言われ、国際線からでもプラス10分で行けるのに、外国からの観光客を呼び込むために、莫大な税金をかけて今急いで市がやらねばならない事業なのでしょうか。

市長を支える自民・公明・維新を伸ばして、このムダな計画を許してしまうのか、一貫して髙島市政の開発政治とたたかってきた日本共産党を伸ばしてムダな開発を止めるのかが今度の市議選では問われます。(2章を参照)

髙島市政は「天神ビッグバン」やウォーターフロント開発などを進めてきましたが、潤ったのは一部の大企業だけで、市民の暮らしは貧しくなってしまいました。

市長提案に100%賛成の政党・議員では、チェックができません。自民党、公明党、令和会(維新など含む)、市民クラブ(立憲、社民など含む)はこの4年間、市長から出された議案が914本に対して反対は0。100%賛成です(※2019年6月議会~2023年2月議会)。こうした会派が議席の8割を占めます。

日本共産党は467本に反対。48%には賛成しています。「なんでも反対」ではなく「いいものはいい、悪いものは悪い」としっかりチェックしています。

会派名市長提案に賛成反対
日本共産党447467
自民党、自民党新福岡9140
公明党9140
福岡令和会9140
福岡市民クラブ9140

※「福岡令和会」は維新などの議員を含む。「福岡市民クラブ」は立憲民主党・社会民主党などの議員を含む。

※ 2019年6月議会~2023年2月議会

今、市政がやるべき緊急の仕事は、学校給食の無償化や18歳までの医療費の完全無料化、国保料・介護保険料の引下げなど、物価高騰から市民の暮らしを守ることです。分厚い生活支援と賃上げを軸にした「やさしく強い経済」への改革を進めましょう。(3章を参照)

日本共産党は一貫して、髙島市政の開発優先政治にメスを入れるとともに、市民のみなさんとの運動と力を合わせ、国保料の負担軽減、中学生までの医療費助成を議会でくり返し要求して暮らしを守る施策を実現させてきました。(4章を参照)

また、市民と野党の共闘にも力をつくしてきました。(5章を参照)

市民の運動と協力し、市民と野党の共闘で政治を動かす日本共産党を伸ばしてください。

2.行政や市議会の問題点・無駄遣いを独自にチェック

党市議団の市民アンケートで「福岡市が優先してすすめる政策として、次の中であなたが共感するもの」として「行財政を改革し、税金の無駄遣いをなくす」がトップにきました。多くの市民が議員のチェック機能を強く期待していることがわかります。

日本共産党は、開発優先の政治と対決し、それを根本から転換させるという基本姿勢があります。土地が売れず4割の土地を市が買い占めた人工島事業、オフィスビルの供給過剰で空室率が高まる「天神ビッグバン」、スポンサーごとの契約金すら開示せず開催費用が3倍にふくらむ世界水泳福岡大会など自民・公明・維新が市長とともに推進する巨大開発・イベントについて、日本共産党は「市民に恩恵がなく大企業だけがもうけている」と追及。利権やムダづかいをあらため、市民の暮らしに税金を使うよう求めてきました。同時に、予算組替え動議を提起して共同を広げてきました。

日本共産党は、株式会社パソナや日本トータルテレマーケティング株式会社などコロナ対策にかかわる大規模な事業委託をめぐって市政の問題点を独自に取り上げて追及しました。

コロナ対策での10万円給付を大手派遣会社パソナに計10億円余で委託した業務に、市がのべ1000人超もの市職員が手伝いに派遣されていた――日本共産党の暴露質問がインターネットで大反響となり、「委託費払って仕事を自分でやったのなら、ほとんどパソナへの税金譲渡じゃん」「利権の闇を感じる」「さすがに酷すぎるだろ」などのコメントが相次ぎました。

日本共産党は委託丸投げをやめ、市が責任を持つよう要求。住民監査請求も起き、「契約違反に関する意識が著しく低かった」などの意見がつけられる事態となりました。

また、コロナ対策の非課税世帯への給付金の仕事も、日本トータルテレマーケティングに丸投げされ、給付が遅れに遅れて政令市の中で最下位になってしまいました。日本共産党はこの事実を暴露し、市長に対応を要求しました。NHKなどで大きく報道され、市長は謝罪に追い込まれました。

福岡市などが発注した樹木剪定や除草をめぐって剪定のクズや草などの処分費用が過大請求された事件が起きました。日本共産党は議会でこの問題をとりあげ、市が不正業者に軽い「処分」で済ませようとしていることを批判し、刑事告訴すべきだと追及。市は渋っていましたが、結局その後、告訴にふみきらざるをえなくなりました。

福岡市議会で12分の1=6人以上である6人の議員団を確保したことで、議案提案権を得た党市議団はマンション紛争予防条例改正案など積極的な条例提案を行ってきました。

(公約)ムダな大型開発と規制緩和をやめさせます

  • 1000億円もかかる福岡空港国際線への博多駅からの地下鉄延伸をやめさせます。
  • 「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」、ウォーターフロント開発、箱崎ふ頭埋立て、人工島事業、国家戦略特区などムダな大型開発・規制緩和をやめさせます。
  • IR・カジノ誘致に反対します。
  • 箱崎九大跡地を財界の食い物にする「スマートイースト」構想をやめさせ、防災公園など住民が願う利用をすすめます。こども病院跡地に公園・児童館・特養ホームなどの住民の願いを実現させます。
  • 税金を使った議員の海外視察は中止します。
  • マンションの乱開発に歯止めをかけ、紛争の予防のために住民合意や説明会の義務付けなど条例を改正させます。

3.物価高騰から市民の暮らしを守るために全力

日本共産党が2022年11月10日付で示した「物価高騰から暮らしと経済を立て直す緊急提案」で示している通り、国民生活への当面の影響を緩和しながら、同時に実体経済を立て直す、「やさしく強い経済」への改革が必要です。

「物価高騰から暮らしと経済を立て直す緊急提案」(日本共産党中央委員会)

特に、賃上げを軸にして内需を活発にすることが必要ですが、教育・福祉の負担軽減によって家計の可処分所得を増やすこともその一助となります。この点で、地方自治体である福岡市が取れる手立てとして社会保障・教育の公的負担の軽減や給付の増額などを実施することが求められています。党市議団は、この立場から2022年11月30日に市に対して緊急対策を申し入れました。

また、省エネ・再エネを強力に推進することは、気候危機打開への責任を果たすとともに、国民負担を抑制し、エネルギーの安定供給をはかる保障となります。それは、雇用を増やし、地域経済を振興するうえでも、「やさしく、強い経済」に役立つものとなります。

(公約)社会保障と教育の負担軽減と給付増をします

  • 国民健康保険料を引き下げます。
  • 介護保険料の引下げ、18歳まで子どもの医療費の完全無料化を行います。
  • 高齢者乗車券・福祉乗車証などの金額・対象を拡充させます。
  • 加齢性難聴に対する補聴器の購入補助を創設します。
  • 生活保護基準の切下げをやめさせるなど、国の福祉切り捨てとたたかいます。下水道使用料減免の復活、福祉手当の創設など市の独自の手立てを取らせます。
  • 上下水道料の引下げ・負担軽減をします。
  • 家庭用ごみ袋代を値下げします。
  • 学校給食を無償化します。
  • 就学援助を充実します。
  • 市独自の給付制奨学金を始めます。
  • 家賃補助を充実します。
  • JR筑肥線と市営地下鉄の乗継割引を拡大します。

(公約)市政の力でできる賃上げ・処遇改善をすすめます

  • 学童保育支援員やスクールソーシャルワーカーなど市の非正規職員の処遇改善と正規化をすすめます。ジェンダー平等の立場からも重要です。
  • 保育・介護・障害者施設などケア労働者の処遇を改善します。これもジェンダー平等の立場から重要です。
  • 公契約条例をつくり、市の発注工事・契約での賃上げをします。
  • ブラック企業根絶条例を制定し、現行法を守らせて処遇を改善させます。

(公約)気候危機打開対策を進めます

  • 市が打ち出した「2040カーボンゼロチャレンジ」はこのままでは実効性がなく、再生可能エネルギー・省エネルギーの目標、実効ある具体策の策定など、市民参加で抜本的な見直しをさせます。
  • 断熱効果の高い住宅リフォームに助成制度を市独自に創設し、気候危機打開へ省エネを進めます。

(財源)

上記2章の(公約)に掲げたような大型開発のムダづかいをやめ、市民の生活応援に回すようにします。例えば、空港国際線までの地下鉄延伸は1000~1200億円ですが、給食無償化は年48億円でできます。このほか、350億円ある財政調整基金の活用などをします。

福岡市の財政は一般会計だけでも1兆円。全会計を合計すれば2兆円を超えます。給食無償化48億円はそのうち0.48~0.24%です。月20万円の家計なら500~1000円程度をやりくりすることです。

4.市民とともに粘り強く働きかけて要求を実現

党市議団の市民アンケートで「福岡市議会議員に望むこと」として「市民の意見・要望をよく聞く」がダントツでトップにきました。

市民アンケートで2番目に要望が高かったのは国保料の引下げ(44.2%)、第3位は介護保険料の引下げ(39.0%)でした。国保料は年収300万円の家では保険料は所得の2割近くにもなり、あまりに重すぎます。引下げを求める3万2000筆の請願が市議会に出され、日本共産党は紹介議員になり署名運動にも参加。議会で質問もしました。しかし現市政も自民・公明の市議も採択には背を向けました。市民の運動と日本共産党の論戦がみのり、国保料の子どもの均等割は一部軽減が実現しました。

18歳までの医療費無料化は市民アンケートで5番目に要望が高く(27.2%)、学校給食の無償化は6番目でした(23.2%)。

日本共産党は給食無償化を議会質問で求めるとともに、負担軽減の予算組替え動議を提案しましたが、自民・公明などが反対し、実現しませんでした。しかし、無償化を求める声は他党にも広がっており、あと一歩です。

中学卒業まで医療費の無料化を求める6万8000筆の請願が出された際にも日本共産党は署名運動に積極的に協力し、議会質問も展開。中学卒業まで助成が拡充されました。子育て支援にがんばる日本共産党を新しい議会でも大いに伸ばしてください。

今の市政の下で合計10万を超える少人数学級(35人以下学級)の全学年実施を要求する署名が出されていました。

日本共産党はこうした市民の運動に呼応して、現市政になって議会での代表質問、市のトップへの要望で毎年求め続けました。現市政は10年たってようやく実施に踏み切りました。

議会の中だけでなく、議会の外の市民運動と力をあわせる――日本共産党が綱領に書いているモットーです。だから時間がかかってもトビラを開けられます。

(公約)教育を充実させます

  • 特別教室に続き体育館にエアコンを設置します。
  • 人口が膨張している地域の無責任な開発を規制するとともに、分離新設など過大規模校化をふせぐ手立てを取らせます。
  • 教育予算を抜本的に増やすとともに、30人学級をめざします。
  • 教員を抜本的に増やすとともに、授業時間や一斉学力テストなどを見直し、教員の過重負担を解消します。
  • 特別支援教育の体制を充実させます。

(公約)中小企業・地域経済を元気にします

  • 住宅リフォーム助成制度を創設・充実します。
  • 認可保育園の抜本増、特養ホーム、市営住宅の新築など暮らしに役立つ公共事業・仕事づくりをすすめます。

(公約)ジェンダー平等、平和・人権の行政をすすめます

  • 男女共同参画基本計画を見直し、意思決定の場での女性・男性の同数をめざします。
  • LGBTQへの差別禁止条例の制定に取り組みます。
  • 平和資料館を設置します。

5.市民と野党の共闘の前進に誠実に取り組む

日本共産党は2021年の総選挙の小選挙区で一本化した野党候補を応援し、5区堤かなめ候補の勝利、2区の稲富修二候補の比例復活での当選に貢献しました。

市政の場でも日本共産党は、福岡市民クラブ、緑の党と市民ネットワークの会などと国への意見書での共同を実現してきました。

特に今期は、市政の問題でも共同が行われたことが大きな特徴です。自衛隊への個人情報の提出でも反対の共同戦線を張られ、日本共産党が提案した個人情報保護条例の改正案でも共闘が実現しました。そして、最終的に市長選挙で、これまでの枠組みを超えて新しい形での市民と野党の共闘が実現しました。